東中野の片隅で

都内の大学院経営学研究科(夜間)に進学した社会人の備忘録です。授業の内容とその時感じた事を忘れないようにするのが目的。

ロジカルシンキングって何?第2回

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今回はロジカルシンキングについて、その②。

 

前回は、そもそもロジカルシンキングってどういう役割なの?なぜ勉強するの?という話。

 ▼前回記事

ryohei46.hatenablog.com

今回は、ロジカルシンキングってどうやるの?って話。

 

ロジカルシンキングの方法(一般的な)

ロジカルシンキングの方法について。

有名なのがロジックツリーを立てるやり方。ロジックツリーは「MECE」が基本になります。

MECE:漏れなく、ダブりなく。

という意味。ロジックツリーを立てるときは「漏れなく、ダブりなくツリー状になっているか」が重要。

この辺はネットにたくさん落ちてるので調べてみてください。特に面白くない普通のやり方。

▼この記事とか分かりやすい

boxil.jp

 

個人的にこの辺はどうでもいい。というか誰でも勝手に頭の中でやっていることだし、新しいと思える考え方ではない。

 

ロジカルシンキングの方法(自分が気を付けていること)

 ここからは、ロジカルシンキングにおいて自分が気を付けていることと、講義で面白かったことを交えて。

 

キーワードは

・相関関係と因果関係

帰納法演繹法と仮説

・論理の飛躍

 

相関関係と因果関係

例えば

「私が鹿島スタジアムに足を運ぶ」という事象を分析する。

多くの企業は、「茨城生まれで、サッカー好きで、スタジアムから一定の距離に住んでいて、ある程度の収入がある」といったことを要素として関連付けようとする。

しかしそれは一見正しいようで正しくないと思っている。それはあくまで相関関係であって因果関係ではない。それらの要素は、私が鹿島スタジアムに足を運ぶ理由ではない。茨城生まれのサッカー好きでも、鹿島スタジアムに全く足を運ばない人を、私は何人も知っている。

私がスタジアムに足を運ぶ理由としては、「友人にもサポーターがいて、鹿島アントラーズの話をするのが一つのコミュニケーションの手段になるから」といったこと事の方が、因果関係としては近い。ビッグデータで得られるデモグラフィックスのほとんどが、「相関関係の域を出ない」というのが持論。

ここを勘違いしていては、永遠にクリティカルな解決策は見つけられないし、イノベーションも生み出せないと思っている。

つまり、デモグラフィックスを使用した分析は、一見ロジカルであるように見えるが、そのほとんどが「相関関係を述べているだけ」であり、それらのデータを用いるときにロジカルになったつもりでいるのは良くないぜ、という話。

 

帰納法演繹法と仮説

 

演繹法:事実に対してルールを適用し、結論を導く。

例えば↓

事実:ソクラテスは人である

ルール:人はすべて死ぬ

結論:ソクラテスは死ぬ

 

帰納法:具体的な実例を列挙し、一般化(ルール化)を行う

例えば↓

実例A:ベートーヴェンは死んだ

実例B:織田信長は死んだ

実例C:ジャンヌダルクは死んだ

一般化(ルール化):人はすべて死ぬ

 

こんな感じ。帰納法で重要なのは、例外が生まれた瞬間に一般化できないということ。つまり、↑の例ならば、死なない人間が発見された瞬間に「人はすべて死ぬ」というルールは崩壊する。つまりルールはあくまで「おそらく~~である」というレベルを超えられない。

そして演繹法においては、「ルール」に例外が発生しうる可能性を忘れてはいけない。「ルール」が変わった瞬間に、結論が変わってしまうのだから。

 

この2つの思考を組み合わせたのが「仮説演繹法」で、ビジネスでのいわゆる「仮説」「仮説」と連呼されるのは、この方法。事象から予言を導いて、それが正しいか検証する。

ビジネスにおいては全てが「仮説」であり、「売れるルール」「集客できるルール」なんてものは存在しない。だから仮説の思考プロセスが重要であり、演繹>帰納>仮説の論理の強度についても理解しておく必要がある。

 

論理の飛躍

最後は論理の飛躍。実はこれもロジカルシンキングの落とし穴になりがちなところ。

実は「相関関係と因果関係」でも「帰納・演繹・仮説」でも、論理の飛躍は常に気にしないといけない。

 

例えば↓

リンゴが落ちた⇒引力があるのではないか?

 

世間で頻繁に使われるニュートンのこの例は、論理が飛躍している。ニュートンはもっと論理的な思考を繰り返した結果引力を発見したはずであって、「リンゴが落ちた⇒引力がある」というのはロジカルではない。

 

ロジカルシンキングの限界

 ここまで書いておいてなんだけど、一番重要なのはココ。

ロジカルシンキングには限界があるよ、ということ。

というのも、ビジネスは仮説⇒検証の繰り返しなわけだけど、仕事には時間的制約が必ずある。時間は有限。だから、いつまでも仮説に時間をかけてるやつは使えないよ。という、それが講義で一番勉強になったことだった(苦笑)。どんなにロジカルな仮説であろうと、顧客にウケなかったら意味がない。

抜群にロジカルな一つの仮説よりも、適度にロジカルな10個の仮説を試した方が、ビジネスでは成功の確率がグンと高まる。

つまりロジカルシンキングなんてのは、「物事を考えるスピードを上げるため手段」あるいは「筋違いな仮説を立てないための手段」であり、成功を約束するものではない。

ロジカルに考えられないやつは論外だが、ずっとデスクの前で考え込んでるやつも使えないよ。

今のところ、それがロジカルシンキングの立ち位置。

 

とりあえず、こんな感じでしょうか。気が向いたら第3回も書くかも。